映画「追想ジャーニー」初日
公開まで1週間切りました。スタートダッシュの成績が劇場拡大へとつながるはずです。お友達誘ってたくさん観に来てください。 #追想ジャーニー #藤原大祐 #高橋和也 pic.twitter.com/M4MXSdSBzl
— 映画『追想ジャーニー』公式 (@journey22_movie) 2022年11月5日
観てきました!
主に友人への布教目的の感想ブログなので……というよりまだ初日だしこれからたくさんの人が観る映画だと思うので……極力ネタバレなしで(あるかもしれないけど観賞の妨げにはならないように意識して)感想を書きます。
ここがよかったここがよかったと語りたい映画だったので、ネタバレなし大変難しい!ので、主観だらけになりそうです。
見に行く予定のある人は読まずに映画館へ行った方が良いと思います。
シネマロサもあまりにも良かった。池袋のいいところ全部ある。
向き合えない人生
#映画 #追想ジャーニー #予告編 pic.twitter.com/kUL5aGJLnM
— 映画『追想ジャーニー』公式 (@journey22_movie) 2022年8月19日
気が付くと、若者は舞台の上にいた。
そばには、見知らぬ男がひとり。
男はなぜか、若者のことに妙にくわしい。
やがて、明かされる奇妙すぎる真実。
若者と男、二人の俺が人生を見つめ直すとき、
本当に大切だった思い出が蘇る。
追想の果てに、二人が手に入れたものとは?
若者と男の未来を変える旅が始まる――
主人公の文也(おじさん)は、売れない役者。スターになりたいと志して芸能界に入ったはずが思い通りにならず、自分と向き合えないから周囲の人とも向き合えない。そんな状況の中、文也は過去の自分と出会う機会を得ます。
文也の気持ちはよくわかります。おそらく夢を諦められない人、諦めたくなかった人は、彼の言動のすべてに胸が締め付けられると思います。
幼い頃は誰しも夢を持っていたと思いますが、大人になるにつれて状況は変わります。キラキラしている予定だったはずの未来は頼んでもないのに1歩1歩寄ってきて、知らず知らずのうちにすぐ隣に来て通り過ぎていく。好きだった人も、家族も、周りの同年代の人間も平等に歳をとっていき、若い頃の夢を握りしめたままの自分だけが取り残されている。
向き合ったら惨めになってしまうから、向き合えないんじゃないのかな(私もみんなも)。自分が何者にもなれていないことに、思い描いた大人になれていないことに、正面から向き合ったら潰れてしまう気がする。そんなとき、文也のように「過去の自分に提言できる機会」を得たら、いつに戻るのか。何をやり直すのか。
私も文也みたいに、頼むからちゃんと勉強してくれと言いたいかもしれない。ちゃんと就職して、ちゃんと結婚して、ちゃんと、ちゃんと、ちゃんと……ちゃんとしてない自分の人生は間違いなの?
こういった、向き合うどころか目を背けたくなるような現実に文也は『向き合うことになる』ので、共感できる人は(ちょっぴり胃が痛くなりながら)、がんばれっ……!て思うんじゃないかな。
個人的にはクリティカルでした。文也って私に似てる。勝手にそう思った。
逆に文也に似ていない人たち(成功した人たち?自分の選択に後悔がない人たち?そんな人いるのかな……わからない)がこの映画を観た時に何を思うのかは気になるところ。
優しく、笑って、現実に送り出してくれる映画
明日から新作撮影なので #追想ジャーニー のことを改めて上げておきます。 pic.twitter.com/pAtD4JOsvo
— 谷健二 🎬『追想ジャーニー』11/11公開 (@kenji_tani) 2022年11月6日
今作の監督である谷健二さんの舞台を過去に観劇していて、その際も感想を書いていたのですが、当時の私は『ジェットコースターみたいだった^^』というありきたりな表現をしています。舞台もカウントすると谷監督の作品を観るのが三作目なので、多分この『ジェットコースターみたいな感じ』が谷監督の作風なのかな……と感じ始めています(妙なことを言っていたらすみません)。
中年になった男が過去の自分と語り合うということで、いろんな後悔と向き合うだろうということは視聴前から察していました。それって重いし、正直言ってしんどい予感。
そもそも自分の選択が間違っていたかも!?なんて自分が一番わかってることで、そんなことと!向き合わされたら!死ぬ!!!!
ということで、映画館に行くのは結構勇気がいりました。
……でも、谷さんが監督なんだ~、という一種の安心感で観に行くことができたし、本当に観てよかった。
夢を叶えきれなかった文也(おじさん)は屈折しているし、過去の文也はキラキラが強すぎるし、周りのみんなはけっこう当たりが強い。でも嫌な人はいない。決して悲劇には包まれていない。笑いがあって、愛もあって、辛いことばかりじゃない。観ている間じゅうずっと楽しかった(なので、しんどい映画見るの苦手な人たちも観て大丈夫だと思う)。何度も笑った。ジェットコースターのように出来事が展開し、気持ちが上がったり下がったりして、楽しいと思いきや突き刺さる言葉があり、苦しいと思いきや笑えるシーンがある。
大スペクタクルは起きない。大恋愛も大失恋もない。ただ一人の男の人生がある。でも楽しい、楽しい、楽しいはずなのに……最後はぼろ泣きで劇場を出た。作中で18歳の文也がそうしたように、笑顔で背中をトンと押される感覚がしたから。
私はこの映画に説教をされたわけでもなく、無理やりに感動させられたわけでもなく、ただ優しく背中を押されたから、その体験が稀有だったから、だから泣いたんだと思う。あたたかい気持ちだった。私の人生はこれでよかったんだと思えて。
パンフレット買っちゃった!
とてもいい映画だったし、今見て良かった。
今が分岐点であるように、10年後も、20年後も、分岐点はすぐそこにあるんだと思う。今までの人生を振り返れば「もっとこうしたらよかったな」と思うことばかりだし、今後もそうだと思う。けれど今作の最後のシーンが、私の人生をずっと後押ししてくれることでしょう。無理やりでもなく、説教臭くもなく、ただ笑顔で優しく。
夢敗れた人も、夢と折り合いをつけた人も、今まさに夢と戦っている人も、きっとみんなの背中を押してくれる映画だと感じました。